雨上がりの君の匂いー秋の夜長に読む犬物語
長い夏日も過ぎてやっと秋らしい季節になって来ましたね。夏を引きずったままの犬達は早朝に目を覚まし散歩に行こうとまだ太陽も上らぬ時間に活動を始めます。そろそろ時間をずらしてくれないかな?笑
秋といえば食欲や読書の季節ということで、今年もそんな秋の夜長におすすめの一冊を犬ラバーの方達におすすめしたいと思います。

書店で見つけて、迷わず手に取ったこの一冊「雨上がりの君の匂い」フランスで60万部の大ベストセラー。登山家であり作家であるセドリック・サパン=ドフールによるノンフェクション作品です。フランスの小さな村で、著者が出会った1匹のベルン・ブービエ種の犬「ユバック」との暮らしの書いています。
物語は、地方情報誌で見かけた「飼い主募集」の広告から始まります。
日常の散歩や一緒に過ごす何気ない時間を通して、言葉では表せない深い絆や愛情が静かに描かれています。
私もまだ途中までしか読んでいないのですが、ページごとに心に沁みる一行があり、もったいなくてゆっくり読み進めています。最後はきっと涙腺崩壊なはずなので心して読み進めていかないと。
私の好きな場面を少し紹介します。子犬を迎えての夜ー
“足音を忍ばせて、彼のところへ行ってみる。眠っていた。全ての権利を放棄して、朝まで眠ることに没頭すると決めたようだ。少しおしっこの匂いがするが、構うものか。すやすやと眠る生き物を目にすること以上に心の和む光景はない。”第1章、p.77
どうです?伝わります?犬ラバーの皆さーん。笑 犬だけではなくても愛すべき存在がある人にはきっとついついそばにいる愛しい存在を想いキューッと胸を締め付けられたはず。最後の一文の前に来ている「おしっこの匂いがするが、構うものか」ここもアクセントになっていてもうラストで全部持っていかれちゃいまいした。幻で匂いまでプーンと感じましたもんね。そして、私は読書を夜にしているから横でテンがスヤスヤと眠っている姿を見てもうたまらない気持ちになりました。(イヌバカです)そして、私の写真フォルダには愛犬達の寝顔がたくさんあります。やっぱ眠っている姿って可愛いんですよね。

こんな風に、犬好きにはたまらない日常の何気ない愛犬の行動が随所に出てくる物語になっています。ただ過ぎている日々が一瞬だけでもふと「しあわせ」なことなんだと再確認できます。ついついSNSや情報ばかりに気を取られがちな日々ですが、そっとスマホを閉じて秋の夜、静かに本を手にとる時間を作ってみるのも贅沢な時間になると思います。1ページでの5分だけでも。気になった方は、どうぞ秋の一冊に選んでみて下さいね